児童書『まんがで学習おぼえておきたい俳句100』

本について

おすすめの児童書の、あらすじ・対象年齢・みどころをお伝えします。

まんがで学習 おぼえておきたい俳句100

編・著:小林清之介

画:山口太一

1987年6月発行(あかね書房)

内容

子どもが親しみやすい100句が、季節ごとに紹介されています。

1ページに、俳句一句、俳人(生没年)、俳句を説明する4コマ漫画あるいはイラスト、文章による解説、が書いてあります。100句の解説の合間に、春夏秋冬の季語の紹介、最後に「俳句のやくそく」(俳句の作り方のルール)、「俳句のあゆみ」(俳句の歴史、有名な俳人の紹介)が書いてあり、読みごたえは十分です。

対象年齢

小学生向けの俳句の本ですが、大人でも十分楽しめます。

この本を購入したのは、小学生の子どもが「学校で習う俳句の意味がよく分からない」と言うので、有名な俳句の意味が分かるようになるといいな、と思ってのことでした。思いのほか今の教科書では習わないような俳句が多かったですが、ユーモラスな4コマ漫画やイラストを楽しみながら、様々な思いを言葉に込めて俳句が作られていることが分かったようです。お勉強用というよりも教養を身につける本です。

みどころ

4コマ漫画とイラストの解説は半々。4コマ漫画はユーモラスなギャグ漫画です。笑いの方向性が五味太郎の『ことわざ絵本』と似ています。「現代の子どもでも面白いのかな?何が面白いか分かるかな?」と心配しましたが、うちの小学生の子は「おもしろいよ」「ふざけた説明なのか、本当の説明なのかを、悩んだ俳句もあった(笑)」と言っていました。解説の文章は至って真面目なので、4コマ漫画を本気にしてしまっても、あとで気がつくので大丈夫です。イラストによる解説の方は、比較的シリアスな俳句が多いです。

解説は、もとの俳句を散文詩にしたような文章です。俳句を詠んだ背景、その時の情景などがよく分かります。掲載されている俳句はすべて五・七・五の定型俳句です。もとの句には旧仮名遣いのものもあるようですが、現代仮名遣いで掲載されています。

松尾芭蕉・18句、与謝蕪村・15句、小林一茶・16句、正岡子規・8句、山口誓子・4句が載っています。そのほか、夏目漱石や川東碧梧桐という正岡子規ゆかりの人物の俳句や、教科書で見たことのあるような俳句も載っています。アラフィフの私が知っていた俳句は、100句のうち24句でした。自由律俳句は載っていないので、愛媛県松山市にゆかりのある種田山頭火の句はありませんでした、残念! 俵万智さんの『サラダ記念日』の発刊はこの本と同じ、1987年でした。

まとめ

今回は、おすすめの児童書『まんがで学習 おぼえておきたい俳句100』についてでした。

小学校中学年~大人におすすめ。

私が住んでいる愛媛県松山市は、俳句と馴染みが深い街です。松山市は2015年に「俳都松山」を宣言しました。松山出身の正岡子規、高浜虚子、河東碧梧桐、松山で高校教師をした夏目漱石(松山は『坊っちゃん』の舞台です)、松山で晩年を過ごした種田山頭火。道路や寺院、観光名所には句碑が至るところに立っています。小・中学校では俳句作りが盛んで、授業で俳句を詠んだり、作った俳句に合わせた絵を描いたり、夏休みの宿題にあったりします。子どもの宿題で、保護者の作った俳句を提出しなければならない時もあります。子どもの友達の保護者の中には、句会に参加したり、俳句サークルのようなものに所属していたりする人もいます。俳句を身近に感じることのできる環境なので、理解を深めて楽しみたいですね。

ご参考まで!

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